2013年5月6日月曜日

活動報告と2年間を振り返って

4/26~29、4日間の活動について笠原が報告させていただきます。


【活動内容】
漁業支援(ワカメ・コンブ出荷手伝、ホヤの養殖準備)、床下泥出し

【感想】 
2年前の4月下旬、初めて石巻を訪れました。
道路の瓦礫、倒壊した家々、鼻をつく悪臭、大量発生する小虫。
忙しなく行き交う、自衛隊、警察、アメリカ軍、建設会社の災害従事車両。
当時の事をいろいろと思い出しながら作業をしていました。

いまそこには新しい家が建設され、お店が再開し、
一つ一つ積み重ねてきた努力が形となって現れています。
そのことに関しては本当に感無量で嬉しい限りです。
(もちろんまだそうでないところもあります。)


一方で物理的な「ものを片付ける作業」とは
違う段階の問題がまだまだ多く残っている事も考えなくてはなりません。
そして、悲しみとやるせなさ、心の問題も癒えるはずはございません。

長い期間、度々足を運んでいる人、
初めて被災地へ来る人、
まだ直接見たことのない人、

このブログをご覧いただいている方々も様々かと察しますが、
震災復興に意識を向けられている事と思い報告を書いております。
何をどう伝えたらいいのか?試行錯誤と自問自答の連続ではございますが
一人の人間としての立場から情報を発信させていただいております。


震災から2年が経過し、
「必要とされているものは何なのか?」
「問題となっていることは何なのか?」
いつも考えますが、大きくは以下の2つに分けられるかと思います。

『震災に由来するもの』
『日本が直面している社会問題』


前者は例えば、
稼業の再開、コミュニティーの崩壊、心のケア、高台移転、防波堤の整備
後者は、
高齢化社会、過疎化、第一次産業の保護などです。

復興に向けた歩みとして
その両者を”切り分ける事ができない”というのが
被災地の現状なのかなと思っています。

高齢者の引きこもりは
「震災による地域社会の崩壊」
「借り上げ仮設住宅での孤立化」
をきっかけに益々深刻になっています。

ちょっとした仕事や、近所つきあいが出歩くきっかけであり
社会とのつながりであったのに、それがなくなってしまっています。
これは時間が解決してくれる問題ではなく、
誰かが何か施策を打たないとどうにもなりません。

杉崎さんからの活動報告でもありますが
移動式のお茶っこバスはそのような状況への対応としての
現地ボランティア団体さんの行っている活動の一端です。


今回の活動でも漁業支援では出荷のお手伝いをしてきました。
再開した漁業に、受注がくるところまで復旧しました。
しかし人手不足によりそれを出荷する準備が追いつかない。

「収入に直接関わる作業をボランティアが行うことは
雇用機会の喪失に繋がる」

という意見もあります。筋論で言うとそうなのかも知れませんが
漁師さんも農家さんもあの震災・津波によって甚大な被害に遭い、
船、 網、冷蔵庫、トラクター、ビニールハウス、石油タンク
みんな流されてしまいました。

先に挙げたような高齢化、過疎化などもあり、
一度は再開をあきらめた所がほとんどです。

しかし、時間の経過と共に「やはりもう一度やってみよう」
そういう前向きな気持ちが徐々に出始め、
そのスタートに踏み出したのが、まさにここ一年です。
0からの、いやマイナスからの出発かもしれません。

行政の補助(手続きの複雑さとスピード感には課題も多い)
 もありますがやはり多くの出費も否めません。
準備には数千万円規模の費用がかかります。

私も作業をお手伝いして知ったのですが
ホヤなどは仕込みをして種を海に沈めてから
収穫できるのは3年後なのだそうです。

漁業を再開し一年目の作業を終えても、その年は収穫できず、
しかしさらに三年後を見据えて準備をしなくてはなりません。
翌年も同じです。つまり収入がない中で、
元の漁業サイクルを取り戻さなければなりません。

震災前は従業員もいました。
繁忙期には近所の人が助け合って作業をしていました。
それが雇用の賃金支払いも厳しく、
仮設への避難、移住など人口の流出は歯止めきかず
地域コミュニティもなくなってしまっているのが現状です。
慢性的な人手不足との葛藤。

そういう自然とのサイクルが崩れてしまった暮らしを
元のサイクルに載せるお手伝いも、復興のための一助と信じております。

この”東北ほっとプロジェクト”を立ち上げた時の理念として
定款にもございますが、
「私たちの活動に賛同して下さる方と
それを必要としている方を繋ぐ架け橋となる」

という事は常に私たちが心がけていることでございます。
私たちは結成当初から3人という人数で今日まで活動をしております。
ひとえに現地で支えて下さる方々、
遠い地域より援護して下さる方々、
ご支援いただいている全てのおかげです。

二年という月日が経過した今、
もう一歩、被災地への架け橋となるための手段を模索したいと思います。

「こんなことが知りたい」
「こんなことができるのだけど需要はあるか?」
「何か手伝いたい気持ちはあるけれど何をどうしたらいいのか分からない」

などございましたらお気軽にご連絡いただければと思います。
今後ともよろしく お願い申し上げます。

tohoku.h.p@gmail.com

文責:笠原宗一郎



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